2025/12/4 02:00
生成AIコラム

「情報漏洩が怖いから、生成AIは社内利用禁止」。この判断は、本当に正しいのでしょうか。本記事は、情報システム部門や法務・コンプライアンス部門の責任者、そして「セキュリティ規定が厳しいからAIは無理」と諦めている経営層に向けて、安全にAIを活用する方法をお伝えします。
結論から申し上げると、「パブリックなAI」と「セキュアなAI」はまったく別物です。国産AI基盤を選べば、機密情報を安全に扱いながらAIの恩恵を受けられます。本記事では、まず無料AIに経営情報を入力すべきでない理由を整理し、次に国産AI基盤という解決策を紹介します。最後に、安全な環境だからこそ可能になる「攻めのAI活用」の具体例をお見せします。
無料で利用できるパブリックなAIサービスには、2つの重大なリスクがあります。ひとつは入力データがAIの学習に使われ、他社への回答として漏洩する可能性です。もうひとつは海外サーバーへのデータ転送に伴う「データ主権」の問題です。これらのリスクを正しく理解することが、適切なAI活用の第一歩となります。
パブリックなAIサービスでは、ユーザーが入力したデータがモデルの学習に利用される場合があります。学習に利用されたデータは、別のユーザーへの回答に反映される可能性があります。たとえば、自社の売上予測や新製品の開発計画を入力した場合、その情報が他社ユーザーへの回答に含まれてしまうリスクがゼロとは言い切れません。
このリスクを恐れて、多くの企業では「個人名や数字を黒塗り(マスキング)してからAIに入力する」という運用ルールを設けています。しかし、この運用には2つの問題があります。まず、マスキング作業自体が面倒で、結局AIが使われなくなります。次に、核心部分を隠したデータでは、AIから有益な分析結果を得ることが難しくなります。
多くのパブリックAIサービスは、海外にサーバーを置いています。日本国内で入力したデータが、アメリカやその他の国のサーバーに転送・保存されることになります。この場合、データの取り扱いは日本の法律ではなく、サーバー所在国の法律に従うことになります。
EUのGDPR(一般データ保護規則)に代表されるように、データの越境移転に対する規制は世界的に厳しくなっています。日本でも個人情報保護法の改正が進み、データの国外移転には本人同意や適切な安全管理措置が求められるようになりました。金融機関や医療機関、自治体など規制の厳しい業界では、海外サーバーへのデータ転送自体が許容されないケースも少なくありません。
「パブリックなAIは危険だから禁止」という結論で終わる必要はありません。国産AI基盤を活用すれば、データを国内で完結させながら、自社専用のクローズド環境でAIを運用できます。この選択肢を知ることで、「禁止」から「活用」へと舵を切る道が開けます。
国産AI基盤を選ぶ最大のメリットは、データが日本国内で処理・保存されることです。たとえば、さくらインターネットが提供する国産AI基盤は、国内のデータセンターで稼働しています。入力したデータが海外に転送されることはなく、日本の法律に基づいた管理が保証されます。
さくらインターネットが提供する国産AI基盤は、会話AI構築プラットフォーム「miibo」と連携しています。この連携により、企業は自社専用の会話型AIを構築しながら、データの国内完結を維持できます。海外への情報流出リスクを極小化できるため、規制の厳しい業界でも導入のハードルが下がります。
国産AI基盤のもうひとつの強みは、自社専用のクローズド環境を構築できる点です。クローズド環境では、入力したデータがAIモデルの学習に利用されることはありません。AIは「データを丸暗記する」のではなく、「必要なときに社内の金庫にあるデータを参照する」仕組みで動作します。
この仕組みは「RAG(検索拡張生成)」と呼ばれます。RAGでは、AIが回答を生成する際に、あらかじめ用意された社内データベースから関連情報を検索し、その情報をもとに回答を組み立てます。データはAIモデル自体には組み込まれないため、他社ユーザーへの回答に反映されるリスクがありません。miiboはこのRAG技術を活用し、企業独自のナレッジを安全に参照できる環境を提供しています。
国産AI基盤とmiiboの組み合わせは、すでに規制の厳しい業界でも導入が進んでいます。金融機関では顧客対応の効率化に、医療機関では問診支援に、自治体では住民からの問い合わせ対応に活用されています。これらの業界で採用されている事実が、セキュリティ水準の高さを証明しています。
導入実績が示すように、「セキュリティ規定が厳しいからAIは無理」という判断は、もはや過去のものになりつつあります。適切な基盤とプラットフォームを選べば、コンプライアンスを守りながらAIの恩恵を受けることが可能です。
安全な環境が整えば、これまで諦めていた「攻めのAI活用」が現実になります。黒塗り作業は不要になり、生データをそのままAIに投入できます。経営会議資料アドバイスAIのような、機密情報を前提としたサービスも活用できるようになります。
クローズド環境の最大の利点は、マスキング作業が不要になることです。売上数値も、顧客名も、新製品の開発コードも、そのままAIに入力できます。生データを直接扱えるからこそ、AIは核心に迫る分析結果を返してくれます。
「先月の売上が前年比で落ちた理由を分析して」という問いかけに対して、AIは具体的な数値と要因を含んだ回答を生成できます。黒塗りされた「売上:●●円」というデータでは、このような分析は不可能でした。安全な環境が、AIの本来の能力を引き出す鍵となります。
こころみが提供する「経営会議資料アドバイスAI」は、国産AI基盤の強みを活かした具体的なソリューションです。このAIは、過去の経営会議議事録を学習し、新たな資料の抜け漏れを自動でチェックします。経営視点でのレビュー、アドバイス、改善提案まで、一連の作業をAIが支援します。
経営会議資料アドバイスAIは、さくらインターネットが提供する国産AI基盤とmiiboの連携によって構築されています。機密性の高い経営情報も国内完結で安全に処理されるため、財務データや人事情報を含む資料でも安心して活用できます。「守り」を固めたからこそ可能になる「攻め」のAI活用の好例といえます。
「ChatGPTは禁止」という判断で思考停止する時代は終わりました。パブリックなAIと国産AI基盤はまったく別物であり、適切な環境を選べば機密情報も安全に活用できます。
本記事では、無料AIに経営情報を入力すべきでない理由として、学習利用による漏洩リスクとデータ主権の問題を挙げました。その解決策として、さくらインターネットが提供する国産AI基盤とmiiboの連携による国産AI基盤を紹介しました。安全な環境が整えば、黒塗り不要の生データ活用や経営会議資料アドバイスAIのような高度な活用が可能になります。
競合他社がAI活用を進める中、「禁止」のままでいることは競争力低下のリスクを意味します。守りを固めることは、攻めに転じるための第一歩です。国産AI基盤という選択肢を検討し、安全と活用を両立させる道を探ってみてはいかがでしょうか。

会話型AI構築プラットフォームmiiboでのAIエージェント構築実績を多数持ち、miiboの機能と活用方法に精通したライター。企業向けにmiiboの最新機能、実践的な活用事例、AI導入のノウハウについて情報を発信し、業務効率化とDX推進を支援している。
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