2025/8/27 03:00

社内問い合わせをAIが一括対応!人事・経理・法務を支えるマルチエージェントAI実践セミナーレポート

  • セミナーレポート

株式会社こころみと株式会社miiboは、2025年8月26日に「AIエージェント構築実践セミナー第22弾」を開催しました。本セミナーは、社内問い合わせ対応の効率化と自動化を目指す企業担当者に向けて、マルチAIエージェントによる実践的な解決策を提供することを目的としています。

本セミナーでは、株式会社miibo CEO功刀雅士氏がマルチエージェント技術の仕組みを解説しました。株式会社こころみCOO森山裕之氏が人事・経理・法務など複数部門の問い合わせを一括対応する実践事例をデモンストレーションで紹介しました。参加者からは導入準備や精度管理に関する質問が寄せられました。

目次

開催概要:社内問い合わせ効率化を実現するマルチAIエージェント

本セミナーは、社内のバックオフィス部門における問い合わせ対応の課題解決を目指して開催されました。

AIエージェント構築実践セミナー第22弾は、2025年8月26日(火)19:00から20:15までZoomオンラインで開催されました。参加対象者は、社内問い合わせ対応の効率化を検討する企業担当者、部門横断的なAI導入を検討する方、miiboを活用したAI構築に関心のある方でした。参加者にはアンケート回答者特典として講演資料が無料配布されました。

セミナーは3部構成で進行しました。前半では功刀氏がmiiboとマルチエージェントの仕組みを紹介しました。後半では森山氏が社内問い合わせ対応AIの実践事例を解説しました。最後にQ&Aセッションで参加者の質問に回答しました。

登壇者紹介:会話型AI開発のスペシャリストが解説

本セミナーでは、会話型AI構築プラットフォームの開発者と、AI実装の実践者が登壇しました。

株式会社miibo CEO功刀雅士氏は、会話型AI構築プラットフォーム「miibo」の開発者です。功刀氏は10年以上にわたり会話型AI領域のプロダクト開発に携わっています。本セミナーでは、miibo Agent Hubの技術的な仕組みとマルチエージェントの活用方法を解説しました。

株式会社こころみCOO森山裕之氏は、miiboパートナーとして会話型AIの構築と会話シナリオ開発を手がけています。森山氏はIT、コンタクトセンター、マーケティング分野での豊富な経験を持ちます。本セミナーでは、マルチAIエージェントによる社内問い合わせ対応の実践事例を、実際のデモンストレーションを交えて紹介しました。

miibo Agent Hub:複数のAIエージェントが協働する仕組み

功刀氏は、miiboとmiibo Agent Hubの概要を説明しました。

miiboは、ノーコードで会話型AIを構築できるプラットフォームです。miiboの開発アカウント数は3万を超えています。miiboでは、AIエージェント、社内ヘルプデスク、データ分析AIなど多様なユースケースに対応できます。miiboはバックエンドアズサービス(BaaS)として、LLMのプロンプトカスタマイズ、ナレッジ管理、UI連携、ログ分析機能を提供します。

miibo Agent Hubは、複数のAIエージェントを集約して協働させる機能です。エージェントハブでは、AIのグループを作成し、グループ方針プロンプトを設定できます。作成したグループはテンプレート化してAPI経由で呼び出すことも可能です。エージェントハブにはオーケストレーションAIが実装されており、各エージェントへの指示出しとタスク進行を自動的に管理します。

功刀氏は、CEO、CFO、CMO、CTOの役割を持つAIエージェントが2025年度の新製品方針を議論するデモを実演しました。デモでは、オーケストレーションAIが各エージェントに発言順を割り当て、自律的に議論を進行させる様子が示されました。功刀氏は、自社でAIドリブン経営を実践しており、経営リスクの洗い出しや改善提案を毎朝AIにレポーティングさせていることも紹介しました。

マルチAIエージェントが有効な領域:複雑な業務と複数の情報源

森山氏は、マルチAIエージェントが特に有効となる領域について説明しました。

マルチAIエージェントは、複雑な業務や複数の情報源が必要な場合に効果を発揮します。単純な1問1答で済む問い合わせであれば、1つのエージェントで十分対応できます。しかし、複数の部門にまたがる情報が必要な場合、判断軸が複数ある場合、大量のデータから正確な情報を抽出する必要がある場合には、マルチエージェント構成が優れています。

1つのエージェントですべてをまかなうことも技術的には可能です。しかし、プロンプトが複雑化し、参照するデータが肥大化すると、精度が低下する傾向があります。エージェントを部門ごとや機能ごとに分割することで、それぞれのエージェントが専門性を持ち、より正確な回答を提供できます。保守性とメンテナンス性も向上します。

森山氏は、マルチAIエージェントチームの設計方法を解説しました。設計では、まず必要となる情報源を特定します。次に、どのような判断軸で考えるべきかを検討します。それに基づいて各エージェントを作成します。最後に、それらをチームとして組成します。

社内問い合わせ対応の実践事例:人事・経理・法務・情シスの連携

森山氏は、社内問い合わせ対応におけるマルチAIエージェントの実践事例をデモンストレーションで紹介しました。

本事例では、人事、経理、法務、情報システムの4部門に対応するAIエージェントを作成しました。各エージェントは、それぞれの部門の規定、FAQ、マニュアルをナレッジとして保持します。各エージェントには「あなたは社内従業員からの問い合わせに対応する○○AIエージェントです。○○部門の立場から従業員の相談・質問に対して必要な手続き、該当する制度、注意点を簡潔に説明してください」というプロンプトが設定されています。

これらのエージェントをmiibo Agent Hubで「社内問い合わせ対応」チームとして組み合わせました。グループ方針として「社内従業員からの問い合わせに対して、人事・経理・法務・情シスの中から関連する部門に対応方法・回答内容を確認し、各部からの回答が出たら最後にまとめて従業員に回答します」と設定しました。

森山氏は、4つの異なる問い合わせシナリオでデモを実施しました。

デモ1:育休からの復帰

「育休からの復帰にあたって何が必要ですか?何か申請し忘れていないか心配です」という質問に対して、オーケストレーションAIが各部門に順次問い合わせました。経理からは給与調整と保育費補助の手続きが、人事からは復職届の提出と時短勤務の申請が、法務からは労働条件変更の確認が、情シスからは社内PCの再有効化とアカウント再設定が回答されました。最後にオーケストレーションAIがこれらをまとめて包括的な回答を生成しました。

デモ2:展示会出展

「営業部です。来週の展示会へ出展しに行くのですが、必要な申請や備品の手配、精算ってどうなってますか?」という質問では、人事から出張申請、情シスから備品リストと端末持ち出し申請、経理から事前申請と経費精算、法務から顧客情報管理と契約書確認についての回答が得られました。この例では、単一部門では気づきにくい法務面での注意点も漏れなく提示されました。

デモ3:副業申請

「副業で動画制作をしていますが、会社に申請が必要ですか?どこまでがOKですか?」という質問に対しては、法務から社内規定と利益相反の観点、人事から副業申請書の提出と承認フロー、経理から税務処理と確定申告、情シスから個人PC使用の必要性について回答がありました。複数の観点から包括的なガイダンスが提供されることで、従業員が見落としがちな手続きも明確になりました。

デモ4:退職手続き

「退職予定なのですが、どこに何を返せばいいですか?IT系の手続きもありますか?」という質問では、情シスからPCとモバイル端末の返却、人事から社員証の返却と退職願の提出、経理から経費精算と最終給与、法務からNDAの確認について回答が得られました。

Q&Aセッション:導入準備から精度管理まで

セミナー終了後のQ&Aセッションでは、参加者から実践的な質問が寄せられました。

「社内向けAIの導入にどれくらい準備が必要か」という質問に対して、森山氏は「既存の規定やFAQなどのドキュメントが整理されていれば、プロトタイプは1ヶ月程度で作成可能です。実用レベルの80〜90点の精度に達するまでには3ヶ月程度が目安です」と回答しました。森山氏は、100%の精度を求めるのではなく、不明確な場合には人間にエスカレーションする仕組みを組み込むことを推奨しました。

「マルチAIエージェントと普通の会話型AIの違い」については、功刀氏と森山氏が共同で回答しました。功刀氏は「1つのエージェントでも対応可能ですが、プロンプトが複雑になり精度が落ちます。複数のエージェントに分けることで、各エージェントが役割に専念でき、精度と保守性が向上します」と説明しました。功刀氏は、1つのエージェントに複数の役割を演じさせると、役割を演じることに処理能力を使ってしまい、本質的なアウトプットが出にくくなることも指摘しました。

「AIが間違った回答をする不安」に対しては、森山氏が「プロンプトで参照ナレッジに記載のないことは回答しないよう設定できます。また、チェック機能を持つAIを追加することで、ダブルチェック体制を構築することも可能です」と回答しました。功刀氏は「マルチエージェント構成であれば、同じ質問に対して複数のアプローチで検索させたり、複数のエージェントに回答させて答え合わせをさせたりするチェック機能を柔軟に組み込めます」と補足しました。

「巨大なデータをベクトル化できる環境でAIエージェントを分ける必要性」という技術的な質問に対しては、森山氏が「何百万文字のデータを1つのエージェントに入れると、必要な情報を正確に引き出せないケースがあります。カテゴリー分けして検索する方が、リソースは使いますが精度は向上します」と回答しました。功刀氏は「1体のAIでも複雑な検索には複数回のクエリが必要です。総リクエスト数で考えると、マルチエージェント構成が必ずしもコスト高とは限りません」と技術的な観点を補足しました。

「将来的にAIが勝手に申請までやってくれるようにできるか」という質問には、森山氏が「各AIエージェントがFunction calling機能で自動的に情報を送信する方法や、申請専門のエージェントを追加する方法が考えられます。MCPやZapierと連携したエージェントを組み込むことで実現可能です」と回答しました。

参加者の声:デモンストレーションで具体的な活用イメージが明確に

セミナー終了後のアンケートでは、参加者から実践的な内容と分かりやすい解説に対する高評価が寄せられました。

参加者からは、マルチエージェント技術の実用性を実感できたという声が多数寄せられました。複数のAIエージェントが対話しながら協働する様子が印象的だったという感想がありました。デモンストレーションを通じて、社内問い合わせ対応における具体的な活用イメージを掴めたことが評価されました。

セミナーの構成と説明方法についても好意的な評価を得ました。情報量と進め方のバランスが適切で理解しやすかったという意見が寄せられました。説明とデモンストレーションの組み合わせが効果的だったという評価もありました。ある参加者は「miiboエージェントハブに焦点を絞った説明が十分で分かりやすかった。総論から各論へと展開する流れが丁寧で理解しやすかった」と具体的に評価しました。

miiboのセミナー全体への評価も高く、継続的な参加意欲が示されました。miiboのウェビナーは質が高く、今後も積極的に参加したいという感謝のコメントが寄せられました。一方で、周囲にAI活用への関心を持つ人が少ないという課題を指摘する声もあり、AI技術の普及と啓蒙活動の重要性も示されました。

まとめ:マルチAIエージェントで社内業務の効率化を実現

本セミナーでは、マルチAIエージェントによる社内問い合わせ対応の実践的な活用方法が示されました。

複数の専門特化型AIエージェントを組み合わせることで、従業員は1回の質問で必要な情報を包括的に得られます。各部門のAIエージェントが独立してメンテナンスできるため、情報更新の作業性も向上します。miibo Agent Hubを活用することで、ノーコードでこうした高度なAIシステムを構築できます。

社内問い合わせ対応の効率化と自動化を検討されている方は、miiboの導入をご検討ください。miiboの詳細については、公式サイトをご覧ください。具体的な導入相談は、こころみの問い合わせフォームからお問い合わせください。

セミナーのアーカイブ動画は、miiboのYouTubeチャンネルで公開されています。過去のセミナー動画も多数公開されていますので、ぜひご覧ください。

セミナー動画はこちら:

株式会社こころみ miiboDesigner 岡 大徳

岡大徳

会話型AI構築プラットフォームmiiboでのAIエージェント構築実績を多数持ち、miiboの機能と活用方法に精通したライター。企業向けにmiiboの最新機能、実践的な活用事例、AI導入のノウハウについて情報を発信し、業務効率化とDX推進を支援している。

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