2026/5/22 00:00
生成AIコラム

AI導入を進めても「現場で使われない」という壁に直面する企業は少なくありません。本記事は、業務の属人化を解消するためにAIナレッジベース構築を検討するDX推進担当者・情報システム部門の方に向けて、現場の実用に耐える仕組みを構築する具体的な手順を解説します。
現場で使われるAIナレッジベースは、ノウハウ抽出・データ構造化・業務実装の3ステップで構築できます。ステップ1では、ディープリスニングによってベテラン社員の経験知を引き出します。ステップ2では、引き出した経験知をAIが理解しやすい形式に構造化します。ステップ3では、構造化したナレッジを日常の業務ツールに組み込み、誰もが使える環境を整えます。
AIナレッジベースが現場で使われない原因は、大きく2つあります。1つ目は人間向けのマニュアルをそのままAIに読み込ませてしまうこと、2つ目は現場が求める「判断基準」が含まれていないことです。
人間向けのマニュアルをそのままAIに読み込ませても、現場で使える回答は得られにくいのが実情です。マニュアルは前提知識を持つ社員が読むことを想定して書かれているため、文脈や暗黙の前提が省略されています。AIはこの省略された情報を補完しきれず、的を外した回答を返しがちです。
マニュアルには、例外対応や現場感覚といった「マニュアルに載らない知恵」が反映されていない点も課題です。現場で頻発する「この場合はどうする?」という質問の多くは、マニュアルの想定外で発生します。マニュアルだけを学習したAIでは、こうした例外への対応が難しくなります。
現場が本当に求めているのは、情報ではなく「判断基準」です。「過去の事例ではどう判断したか」「どのような状況でどう動くべきか」といった、ベテラン社員が経験で身につけた判断軸こそが、属人化を解消する鍵となります。
判断基準を伝えるためには、ベテラン社員の頭の中にある暗黙知を引き出す必要があります。暗黙知はインタビュアーの問いかけに対して断片的にしか語られないため、これを体系的に取り出すには専門的な聞き取り技術が欠かせません。
現場で使えるAIナレッジベースは、3つのステップで構築できます。ステップ1ではディープリスニングでノウハウを抽出し、ステップ2ではAIが理解しやすい形にデータを構造化し、ステップ3では日常の業務ツールに実装します。
ステップ1のノウハウ抽出では、ディープリスニングによってベテラン社員の暗黙知を引き出します。ディープリスニングとは、心理的安全性を確保したうえで、状況・行動・影響まで深掘りして話を聞き出す手法です。社内の同僚相手では話しにくい本音や裏ノウハウも、専門インタビュアーが聞き手となることで自然に引き出せます。
抽出する対象は、業務手順だけではありません。「どのような状況で、なぜそう判断したのか」「結果として何が起きたのか」という背景まで掘り下げます。この深掘りにより、単なる作業マニュアルでは見えない判断基準や哲学までが言語化されます。
ステップ2のデータ構造化では、抽出したノウハウをAIが理解しやすい形式に整えます。具体的には、抽象的な哲学・判断基準はMarkdown(マークダウン:文書の見出しや階層を記号で記述するルール)で整理し、業務手順はYAML(ヤムル:データを階層的に記述する形式)やフローチャート形式で整理します。
形式を使い分ける理由は、情報の性質に合わせて表現を最適化するためです。判断基準のような文章で伝える情報は、Markdownで階層化することで文脈を保ったまま整理できます。手順のような順序がある情報は、YAMLやフローチャートで表現することで、AIが順番や条件分岐を正確に解釈できるようになります。
構造化したデータは、RAG(検索拡張生成:AIが外部の知識を検索しながら回答を生成する仕組み)と組み合わせることで、AIの知識源として機能します。膨大なナレッジから必要な情報だけを検索し、文脈に応じた回答を生成できるようになります。
ステップ3のAI実装では、構造化したナレッジをもとに構築したエージェントを、日常の業務ツールに組み込みます。Slack・Teams・社内ポータルといった、社員が日常的に使うツールにエージェントを統合することで、誰でも迷わず利用できる環境が整います。
業務ツールに組み込む理由は、利用のハードルを下げるためです。専用画面を別途開く必要があると、利用が定着しにくくなります。普段の業務の流れの中で自然に質問できる状態を整えることで、AIナレッジベースが現場に根づきます。
業務の属人化を解消するAIナレッジベースは、ノウハウ抽出・データ構造化・業務実装の3ステップで構築できます。マニュアルをそのまま読み込ませるだけでは、現場の実用には耐えません。ベテラン社員の暗黙知を引き出し、AIが理解できる形に構造化し、日常の業務ツールに組み込むことで、はじめて「使われるAI」が実現します。
株式会社こころみのAIエージェント構築サービスでは、ノウハウ抽出から実装まで一貫してサポートします。800人以上の高齢者との会話で培ったディープリスニングの技術を、ベテラン社員のインタビューに応用しています。引き出したノウハウは、AIフレンドリーなデータ構造化を経て、現場で実用に耐えるエージェントとして実装されます。
属人化の解消や経験知の継承にお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。御社の課題に合わせた構築方法を、サービスサイトにてご紹介しています。

会話型AI構築プラットフォームmiiboでのAIエージェント構築実績を多数持ち、miiboの機能と活用方法に精通したライター。企業向けにmiiboの最新機能、実践的な活用事例、AI導入のノウハウについて情報を発信し、業務効率化とDX推進を支援している。
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